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誰かさんが 誰かさんが 誰かさんが みつけた
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた
めかくし鬼さん 手のなる方へ
すましたお耳に かすかにしみた
よんでる口笛 もずの声
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた
(「ちいさい秋みつけた」サトウハチロー作詞・中田喜直作曲)
9月に入ってめっきり秋らしくなってきた。朝晩の涼しさにホッとできるのは何週間ぶりだろう。日中は相変わらず暑いけれど、それでもじっと我慢して身の周りのものに五感を澄ましてみると、そこには色々な秋がある。特に、秋の音には素敵なものが多い。残念ながらもずの声を聴いたことはないが、私の近所では様々な虫たちがその歌声を競う。先々週に書いたようなさわがしい蝉時雨は去り、ツクツクボウシやヒグラシが昼下がりから夕暮れ時にかけて鳴く。そして夜には草むらの虫たちが――
あれ松虫が、鳴いている
ちんちろちんちろ、ちんちろりん
あれ鈴虫も、鳴きだした
りんりんりんりん、りいんりん
秋の夜長を、鳴き通す
ああおもしろい、虫のこえ
(「虫のこえ」作詞作曲不詳・尋常小学読本唱歌)
私には「どの声がどの虫」とまでは分からないが、とにかく色々な音色があり、聴いていて飽きることがない。まさに「ああおもしろい」である。
しかしながら、虫の鳴き声も多種多様だが、それに負けず劣らず日本語のオノマトペも多種多様であるとつくづく感心する。この歌の二番では、くつわ虫は「がちゃがちゃがちゃがちゃ」、馬おいは「ちょんちょんちょんちょんすいっちょん」。実に見事に表現されている。豊かな言語があればこそ我々は美しい自然を表現することができるのだが、逆に、我々が豊かな表現力を持ち得たのは、日本の美しい自然があればこそだと思う。自然破壊とは、つまりは言語破壊かもしれない。
“秋の夜長を”で思い出したが、「長月」という9月の異称は「夜長月」に由来すると聞いたことがある。仕事に、勉強に、読書に、あるいは仲間との語らいに……。心地よい夜の時間を有意義に使いたいものだ。