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孝太郎編集員と、ゲストの方とで、かわるがわる記事を書いてゆきます。孝太郎本体に関するお知らせ(ex.第○号を出しました!)をここですることもあります。
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  私は読んでいて情景がありありと浮かんでくるような文章を書く作家さんが好きだ。知らない場所でもまるでそれが懐かしい土地であるかのように、再現することができる、そんな文章が。もちろんこちら側の想像力に読みを委ねた文章も、それとして十分魅力的なのだが、貧弱な想像力の持ち主である私としてはそういった文章を読むのはなかなか骨の折れる作業なのだ。
  細やかな表現というのは情景描写のみにとどまらず、微妙な気持ちの揺れにまで至っている。そういった作家さんの中でも特に私が心引かれるのは幸田文さんだ。私が評するなど大それたことだが、彼女の文章は日常で感じるふとしたこと、文字にして起こさなければきっと通り過ぎてしまうささやかな感情を丁寧に拾っている、そんな気がする。想像下手の私が「よっこいしょ」と頭を働かせずとも、情景が、人物の感情が、すっと私の中に流れ込んでくるのだ。
  これは逆に文章を書く側の「よっこいしょ」のおかげだろう。書き手は自分の作品の雰囲気は分かっている。読み手の頭の中に自分の構想をそっくりそのまま再現させるためには、相当の情景やら何やらを文字に起こさないといけない。このためのひと手間が書き手の「よっこいしょ」なのである。息をのむような紅葉の世界や、秋のちょっぴりセンチメンタルな気分でさえ、文字を介してそっくりそのまま他の人に伝えることは難しい。地味で面倒な「よっこいしょ」無しにには書き手として何も始まらない。そう感じさせる彼女の文章だった。
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