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孝太郎編集員と、ゲストの方とで、かわるがわる記事を書いてゆきます。孝太郎本体に関するお知らせ(ex.第○号を出しました!)をここですることもあります。
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 私は早起きが苦手で、毎朝どたばたと大急ぎで出発の準備をする。もちろん、通学中も周りの景色に目を留める余裕もなく、見るものといえば進行方向と時計の針だけだ。実際に家を出る時間も遅いため、そのころにはもう太陽は顔を出すどころかだいぶ高いところにおでましになっていることが多々あるのだ。そんな私は昨日、久しぶりにゆっくりと朝を見た。残念ながら早起きによってではなく、遅く帰ってくることによって可能になったことなのだが。
 朝はご存知のとおり東からやってくる。と、同時に重厚な雲に覆われた夜の空が西の方角へ逃げてゆく。朝の領域が夜の領域を徐々に侵食する様を見て、地球が絶えず回転していたことを思い出した。私は顔を出した太陽は東の空を明らめるばかりのものだと思っていたが、その時京を囲む山々はみな光を浴びて燦然と輝いていた。今の時期の山々は赤や黄色をあふれんばかりにかかえている。しかし、その山の表情は底抜けに明るい夏とは異なっている。きたる冬を思って、山々はあふれ出す赤や黄色をぎゅっと抱きしめているのだ。弱弱しい笑顔だけはこちらに、あとは背を向けているのが11月の山々だ。その山々を朝日が照らしだす。朝日を受けて山々の表面は影の部分と光の部分に色分けされ、ぐんと奥行きが出る。朝日を受けるだけで、笑顔の裏に隠された寂しさが滲み出してきた。山に、朝に、こんな表情があったことなって知らなかった。小さいころは感じていたのかもしれないが、もうずっと忘れていた。
 忙しい人間たちに忘れられても山々は毎日、朝日に照らされる。毎朝、偽の笑顔を引き剥がされながらも、決して太陽を拒まない。
 もうすぐ冬がやってくる。雪に覆われる山々はどんな表情を見せてくれるのだろうか。早く起きて会いに行こう。
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