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命数法と聞いてなんのこっちゃの方は多いかもしれませんが,「一十百千万億兆…」のことだと言われたら大抵の方がお分かりでしょう。これは「大数」つまり大きいほうで,その反対は「小数」。
大数の一覧。一,万,億,兆,京,垓,秭,穣,溝,澗,正,載,極,恒河沙,阿僧祇,那由他,不可思議,無量大数。すべて四桁ずつ上がっていきます。
次いで小数。こちらはけっこう知られていない部類ではないでしょうか。一,分,厘,毛,糸,忽,微,繊,沙,塵,埃,渺,漠,模糊,逡巡,須臾,瞬息,弾指,刹那,六徳,虚空,清浄,阿頼耶,阿摩羅,涅槃寂静。
面白いのはこういった言葉にはすべて意味づけがあるということです。それも,極端な数になるほどに仏教の色合いを含んだものになることです。
例えば恒河沙。恒河とはガンジス川のことで,その砂の数に匹敵する,という多さです。阿僧祇は梵語“asaṃkhya”の訳で,「数えることが出来ない」の意味。ガンジス川のは数えられるのかという突っ込みは置いといて。
さらには小数。涅槃寂静とは,悟りの世界が安らぎの境地であることを示していますし,清浄なんて見ての通り。「一寸の虫にも五分の魂」といっても,それがある程度大きいものであることも分かります。
数は極端になればなるほど感覚の世界になってきます。我々であれば「天文学的」というのがこういった数を示すのに使われますが,それは現在の我々が星の距離や宇宙についての科学的知見を持って数を捉えているからと言えるでしょう。しかし命数法の単位は仏教,悟りの境地の純粋さ,功徳の偉大さを意味しています。これらの言葉の生まれた時代はこれで数を伝えることが出来たというわけです。そうすると,数のイメージというものが全く違ったものになるわけです。
科学的に同じものでも,イメージだけでこうも変わる,そんなものは身近にあったのだな,と実感しました。