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凶と狂

 

ひどく疲れていたせいだと思う。貧血が起こった時のように、視界が白んでゆき、周囲の物音が私から離れてゆく。心を鬼にする方法を考えていた時のことだった。

 

心を鬼に・・・きっと人を憎むことは容易い。しかしそれを表現することが、私にはどうしてもできない。嫌いでも、辛くても、悔しくても、笑うことしか出来ない。きっと、憎まれるのが怖いからだ。なんて保身的なのだろう。

 

基本的に私は楽観主義者だ。なんでもお気楽に捉えるし、みんなが大好きだ。それは事実。

 

でも、心を鬼に・・・と念じているうちに、私でない私の感情が支配的になった。これを口にすればきっとあなたは私を軽蔑するだろう。なぜならその感情とは「人を傷つけたい。」というものだったから。

 

突然生まれた「凶」に対して、最初は「そんなばかな。」といつものように笑い飛ばそうとした。しかし、消そうと思っても湧き出ずる水のように、その感情は拭い去ることができなかった。その時ふと大量殺人犯にどこかでシンパシーを感じ、奈落の底に落ちるような感覚に襲われた。

 

拭い去ることができないとわかった結果、私は自分が狂ってしまったと思った。いや、狂っていたのに気づかなかったのかもしれない。もう、偽善者の皮を脱ぎされば、後に残るは「狂」の世界だ。

 

「凶」と「狂」に支配され、ものや人に八つ当たりをするでも無く、私はその場で動けなくなった。くにゃっと力の抜けた体は、ベンチに張り付いた。息を荒げることも声も上げることもできなかった。ただただ無機的に、まなこからしずくが落ちただけだった。
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