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二階建てという発想はいつ生まれたのだろう、ということがふと気になった。住居を重ねて積み上げるなんて、尋常な発想ではない。建築史的に見れば革命的な概念であったに違いない。建築史の専門家は「世界最古の二階建て建築物」を知っているのだろうか。
二階建てに限らない。平屋ではない、複数階を積み上げた歴史的な建築物を思いつくままに挙げてみる。ストゥーパ・黄閣楼・五重塔・ピサの斜塔・金閣寺。どれも一般的な住居ではなく、権威とか宗教の象徴としての建造物である。単に背高のっぽにするのではなく階層的な構造を造るということが、いったいどのようにして発想されたのであろうか。
住居としての二階建てができたのは、ごく最近のことと思われる。都市が拡大し、人の数が増え、平屋ではそれだけの人を収容できなくなったために、階を積むことが考えられたのであろう。しかしそれは大した事件でもなく、歴史的に連綿と続いてきた階層建築の伝統を住居に応用しただけに過ぎない。
先史時代の人々が、部屋を上に重ねてみようという気になった、その過程に私はえらく興味を引かれる。自分の部屋を見回してみて思うに、部屋の上にもう一つ部屋を重ねようという発想が生まれるためには、部屋自体が重ねる気の起きるような形をしていなければならぬ。つまり、二階建ての起源には、部屋が四角くなったという出来事が大きくかかわっている気がする。むろん、四角(直方体)という形は狭すぎる十分条件で、とにかく床と天井が平行な平面であることが必要である。しかし一番造りやすい形はやはり四角であろう。
我々はもはや四角い部屋に住むことをなんとも思っていないが、人類史的に見れば、部屋を四角くあらしめた瞬間は大きな転換点であったろう。二階・三階と建物を積み上げ、文明の中に自分たちを規定していく歴史がそこからはじまったのだ。そんな気がしてならない。