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我々日本人は四季の移り変わりを多かれ少なかれ感じながら生活しているが、とりわけ大きな変化を感じる瞬間が、一年のうちに二度あると思う。桜や紅葉を見ると、もちろん春や秋の訪れを実感する。だがやはり、「瞬間」と呼ぶのに最もふさわしい二つを挙げるとすれば、まずは朝目覚めて一面の銀世界を目の当たりにするとき、そして、蝉が一斉に地中から這い出し鳴き始めるとき、であろう。住み慣れたはずの身の周りの世界が、非現実的な色彩や、あるいは非常識な大喧騒によって、短期間のうちにすっかり変貌してしまうのである。特に蝉時雨は、ある日突然その堰が切って落とされ、しかも主役を交代しながら数週間居座り続ける。梅雨明けの暑さを現実として受け入れることを余儀なくさせる音、とでも言えようか。

驚いたことに、今年最初に見た蝉は、こともあろうに死体であった。車輪に押しつぶされ、無惨な姿だった。しかし、さらに驚いたのは、その翌日、羽化したばかりの蝉を見かけたことだった。土塀にしっかりとしがみついて、濡れて縮んだ二枚の羽が乾いてまっすぐに伸びるのを、静かに待っていた。負と正と、死と生と、両極端に揺れる劇的な感動を味わった夏の始まりだった。

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